公認日本語教師に関するニュースを見ていて感じることは、日本語教師の専門性がより強く問われる時代になってきたということです。
では、日本語教師の専門性とはどのようなものでしょうか。
まずは母語としてではなく、外国語としての日本語を客観的に分析し、的確に学習者にその機能を教え、運用できるように効果的な練習を組み立てることができるスキルを持つことだと思います。
これらは日本語教師養成講座で学ぶことですが、養成講座を修了した時点で、初級から上級までの全レベルでこれができる教師は稀だと思います。
実際に教壇に立ち、授業をこなして行く中で、自ら意識してこのスキルを獲得すべく努力し続けなければなりません。
次に、学習対象者。
生活者に対する日本語教育、就労者に対する日本語教育、留学生に対する日本語教育。
教える内容や授業の進め方、学習者に対する接し方など、教師に求められるスキルが異なることも多いです。
これからの時代は自分の得意分野に絞って、それを自分の強みとすることも日本語教師として武器になると思います。
そして、それが教師としての専門性につながると思います。
例えば、就労外国人に対する授業も、昨今は細分化されてきています。
介護の日本語、IT企業で働く外国人に対する日本語、技能実習生に対する日本語など、自分の得意分野を活かした授業に特化していくのも強みになると思います。
そして、新型コロナウィルスの影響で、一気に広がったオンラインレッスンの需要。
ZoomやSkypeなど、オンラインアプリの操作に長けている教師はそれが強みになるでしょう。
SNSを見ていると、上に挙げたような「専門性」を持ち、その強みを活かして活躍されている方々がたくさんいらっしゃっいます。
また、日本語教師としての強みを獲得するための講座、例えば、介護の日本語の教え方や、オンラインで行う場合の効果的な教え方の講座など、多くの講座がオンラインで開講されています。
文化庁のHPには、現職日本語教師のための学習対象者を絞ったスキルアップ講座の情報も掲載されています。
このように、時代のニーズと国家資格化の流れに伴い、日本語教師のキャリアパスが明確化されてきたことは喜ばしいことだと思います。
私自身は例えば、3年間で全レベル教えられるようになるなど、自分で目標を定めながら、今まで教えてきましたが、改めて今後の自分の方向性、そして、新たにどんな「専門性」を獲得すべく勉強していくのか、じっくり考えなければならないとひしひしと感じています。
ただ、キャリアパスは一人一人違うもの。
自分のライフスタイルと性格、特技に合わせて、目標を設定していけばいいと思います。
日本語教師として長く仕事を続けたいなら、一年後、三年後、五年後、どのような専門性を獲得したいか、長期的な視野で自分の目標を設定したほうがいいのではないかと思います。
日本語教育業界を取り巻く状況の変化を知ることは大切ですが、情報の波に翻弄されると自分を見失なってしまうかもしれません。
正直、私もSNSを見続けていて、漠然とした焦りを感じてしまいました。
けれど、一度にあれもこれもはできない、今までのキャリアを活かしつつ、新たな分野にも少しずつ挑戦していこうと
考えているところです。