この時期、7月の日本語能力試験に向けて、一生懸命勉強している学生がたくさんいることでしょう。
日本語教育機関はもちろん、企業レッスンなどでも、試験対策に力を入れた授業が行われているところが多いと思います。
教えるためにはまず自らが学ばなければなりません。
試験対策の授業をするため、授業準備に追われている多くの日本語教師の姿が目に浮かびます。
日本語教育機関などの通常の授業では、漢字、語彙、文法、読解、聴解、それぞれ時間をかけて丁寧に教えていきます。
それに対して、試験前は選択肢のある練習問題をたくさん解かせて、その場でフィードバックをしていくことも多いです。
教え方は当然、異なります。
文法を例にあげると、経験上、通常の授業では1文型に0.5コマから1コマかけることが多いです。
丁寧に導入、機能説明を行い、文作成練習をします。最後に、時間があれば、学習者のニーズに合わせた応用練習を行います。
けれど、どんどん問題を解かせていく試験対策の授業ではそんな余裕はありません。
正解はもちろん、選択肢にある文型の意味も確認していきますが、一つ一つ丁寧に教えている時間はありません。
短い時間で、学習者のレベルに合わせた、わかりやすい例文を提示し、活用形を確認し、機能を説明していきます。
類似文型が出てきたときは、もちろんその相違点にも触れます。
じっくり丁寧に教えるやり方、短時間で効果的に多くの文型を教えるやり方。
どちらの教え方も経験し、工夫を重ねていくことで、教師として成長していけると思います。
文法はこの二つ以外の教え方ももちろんあり、いろいろな教え方を工夫して実践してみるのはとても楽しいし、勉強になります。