いつの時代も国際関係は複雑なもの。
政治家は「国益」を考慮して判断を下さなければならないので、状況は変化し続けていきます。
国際情勢が授業に与える影響をふとしたときに感じることがあります。
同じ国籍の学生だけがいるクラスでは、
自国と特定の国との複雑な関係や、その国に対する思いを打ち明けられることもあります。
ニュースなどでは知り得ない国民感情を知り、驚きつつも、基本は「傾聴」します。
また、日本と、ある特定の国との関係や、日本人の国民感情を聞かれることもあります。
ときに、私自身の意見を求められることもあります。
聞かれたときは誠実に答えるようにしています。
気をつけなければならないのは、多国籍クラスを教えているときです。
今まさに、関係が悪化している両国の学生がいる場合があるからです。
当然のことながら、その問題を教師が提示し、どう思うか、聞くようなことはしません。
政治の話題になったときも、そこに話題が飛び火しないように、コントロールはかけます。
国と国の問題は、個人と個人の問題と分けて考えなければならないからです。
特に、海外で自国の政策について否定的な意見を言われると、言われた個人が責められているような気持ちになり、つらいものがあります。
幸い、学生はその点をよく理解しており、クラスメイトとも仲がいいので、他国の政策を批判するような発話が出たことは、私の経験では今まで一度もありません。
ただ、冗談で、その話題に触れて、言われた学生がさりげなく流すという場面は見たことがあります。
悪気がないのがわかるので、私も静観しています。
日本語教師になる前、国際情勢が授業に深刻な影響を与えることがあるのではないかと、心配していたのですが、現実は違いました。
とはいえ、日本語教師としては、国際情勢に常にアンテナを張ること、今ある政治的な問題について、自分はどう思うか、考えておくこと、そして、何より授業中は「中立」を貫くことが大切なのではないかと思います。
その姿勢は何も言わずとも学生には伝わるものだと感じています。