日本語学校などでは留学生に対して、
日本語能力試験の時期に合わせ、全科目
試験対策をするのが普通です。
その中でも重きを置くのは文法です。
なぜなら、文法はテキストの文法解説を読んでも、その機能や、類似文型との
相違点をきちんと把握するのが
難しいからです。
学生も自習が難しいのは文法だと
口を揃えて言います。
けれど、日本の会社で働きながら、受験する学習者は、受験級の全ての文法項目を授業で学ぶ時間が十分に取れないのが普通です。
現在、数ヶ所でそのような学習対象者に
試験対策としての文法を教えています。
留学生に対する教え方とは異なり、
かなりハイペースで進めていくことに
なります。
テキストを開き、トップダウンで教えていきます。
そのため、予習より復習の大切さを
繰り返し話しています。
教えるときの留意点はとにかく機能を
しっかり理解させることです。
必然的に教師の発話は通常の授業より
多くなりますが、学生は機能をいちばん知りたいので、致し方ないと思います。
また、類似文型との相違点にも必ず
触れ、確認します。
どこまで深く教えるかは学習者のレベルによって異なります。
機能が重なる類似文型を選ぶ問題は
通常、出題されませんが、学生としてはやはり違いがわからないと、すっきり
しません。
そして、機能は似ていても、活用形が
違う場合はそこが問題に関係してくる
可能性があるので、その点も話します。
この教え方だと、文型作文までやる時間がないことも多いのですが、会話でよく
使う文型、学生が現場で使う会話に
役立つ文型などは作文をさせて確認します。
テキストを開き、ハイペースで進めて
いくやり方は、ボトムアップで導入から応用練習まで丁寧に教えるやり方よりも一見、易しそうに見えますが、
実は、こちらのやり方も難しいです。
機能分析に時間をかけた上で、学生に
いかにわかりやすく提示するか、練ってから教えないと、学生にスムーズに理解
してもらうことができず、カリキュラム
通りに進めていくことができなくなる
からです。
特に、中級以上の文法に関してはトップダウンとボトムアップ、両方の教え方の経験を積むようにすると、教師にとって
非常に勉強になると思います。