日本語の授業では、教師は話し過ぎてはいけない。学生と言葉のキャッチボールをしながら、学生の発話を引き出し、できるだけたくさん日本語を話す機会を作らなければならない。
日本語教師養成講座で、このことを頭に叩き込まれ、試行錯誤しながら、実践してきました。
教師研修の際も、新人教師にフィードバックをするのはたいていこの部分です。
ただ、頭ではわかっているけれど、そのような教案を作成するのは容易ではないと悩んでいる方も多いかもしれません。
昔、ある日本語学校で留学生クラスの担任をしていたとき、プロジェクトワークとして学生に劇をさせるように言われました。
そこで、選んだのはある有名な昔話。
図書館で借りてきた紙芝居を参考に、学生のレベルに合わせて台本を書きました。
演者担当の学生の人数に合わせて、架空の登場人物も作り、台詞を学生のレベルに合わせ、書き直し、ナレーション役も作りました。
メインキャストの台詞はどうしても多くなってしまいましたが、なるべく均等に台詞を言わせるようにと意識して作成しました。
結果、できあがった台本は、今振り返ると、教案の「原型」であると思います。
ナレーションは教師の「解説」部分。
登場人物の会話は教師と学生、または、学生と学生の「発話」部分。
このように考えて、自分の作成した教案を客観的な視点で見つめ直してみてはどうでしょうか。
ナレーションが長すぎる。
会話のキャッチボールになっていない。
台詞の量に偏りがありすぎる。
そのような部分を訂正していくといいのではと思います。
授業はある意味、ストーリーです。
メリハリがあり、流れがスムーズな「ストーリー」に人は惹きつけられるものです。
授業ではこれに「わかりやすさ」も重要な要素として求められます。
もちろん、教案がうまく書けた!と思っても、予想したようにはスムーズに進まないこともありますが、それもまた次に繋がる貴重な経験になると思います。