「人は生まれた瞬間から死に向かって歩き始める」という言葉を聞いたことがありますが、最近、よく自分の行く末について考えます。
介護施設でアルバイトをしている影響も大きいと思います。
年を取れば、誰でも体が思うように動かなくなります。思考力も衰えます。
認知症を発症することも多いです。
認知症と聞くと、何だか怖いというイメージがあるのではないかと思います。
私も以前はそうでした。
介護職員初任者研修で認知症について学んだことで、理解が深まりましたが、それ以前は知識のないまま、介護補助として利用者さんに接していました。
最初は戸惑いましたが、他の介護職員の接し方を真似ているうちに、慣れてきました。
一口に認知症といっても、様々な症状がありますし、程度も違います。
認知症ではないと思っていた方が、実は軽度の認知症だと聞かされ、驚いたこともあります。
ふだん口数の少ない方や、現実と乖離した世界に生きていると思われる方が、ふとしたときにご自身の幼少時代やご家族の話、仕事の話などを明晰に話し出されることもあります。
その方の人生で宝物のように大切な方のお話、経験、反対に辛い経験を語られることが多いです。
心に深く刻み込まれた体験を人は忘れることはないのでしょう。
思いがけず聞かされた話は私の胸にも深く響き、いろいろと考えさせられます。
ただ、介護職員としては、利用者さんのありのままを受け入れること。
否定せず、意見を言わず、共感すること。それに尽きるのではないかと思います。まだまだ半人前ですが。
「若いわね。いいわね。働けるうちが華よ。」
度々、利用者さんに言われる言葉です。
最近、身体がしんどいな、もう年だなと弱気になったとき、この言葉が脳裏に浮かびます。
今を大切に、精一杯生きなさい。
うれしいことも、悲しいことも、苦しいことも、全て人生の糧になるから。
そう言われているような気がして、励まされ、心が温かくなります。
介護施設で働くことで、利用者さんから多くのことを学ばせてもらっています。
そして、明るくて、率直で、ときに厳しいダメ出しもされるけれど、根っこが本当に優しい同僚たちと働けることも、私の癒しになっています。
介護の日本語を教えることにならなければ、関わることはなかった世界だと思うと、不思議であり、また、関われたことに感謝したいです。