直接、相手の表情を見て話すことができない「電話対応」は外国人にとってはハードルが高いものです。
日本人でも、職場での電話対応は緊張感を伴うと思います。聞き返すこともあるでしょう。
では、どのような練習を行えばいいのでしょうか。
一つ例を挙げます。外国人介護職員の場合です。
今までいわゆるビジネス日本語のテキストなどで、丁寧な電話対応の練習をしたことがありますが、介護職員にそのまま使用することはできません。
話す相手、内容が異なるからです。
このような場合はニーズ調査をしてから練習に入ります。
現場でどのような立場の人と電話で話すのか、聞き出し、板書していきます。
相談員、看護師、ケアマネ、厨房職員、リハビリ職員、利用者さんのご家族‥たくさん出てきます。
次に、どのような内容の電話をかけたり、受けたりするのか、具体的に聞き出し、板書していきます。
これらは非常に大切です。
私も介護施設でバイトをしていますが、施設の規模、種類によって、話す相手や内容も違いますし、施設により、使用される専門用語も違ったりするからです。
ここまでいろいろ聞きだすと、学生の頭の中は電話対応の練習をする準備ができてきます。
練習の仕方もいろいろあります。
教師が電話相手になりきり、学生とロールプレイを行う。
電話は顔が見えないので、学生に背中を向けて練習したほうがいいです。
他のやり方としては、学生に話す相手と内容を考えて書かせ、書いた紙を回収し、違う学生が書いた紙を教師が見ながら、ロールプレイを行う。
また、いちばん効果的なのは施設の職員にお願いして、実際に電話をかけてもらい、その内容を教師が横で聞き、フィードバックを行う方法だと思います。
教師相手だと、学生はやはりリラックスして話せるからです。
このような練習の仕方は介護職員対象の授業だけでなく、一般企業のレッスンやプライベートレッスンなどでも、もちろん可能です。
ニーズ調査は通常、日本語の授業がスタートする前に行うものですが、活動の導入として場面に合わせて再度行うと、テキストがなくても、リアルな練習ができると思います。