語彙には、明らかに「いい意味」で使用する機能、「悪い意味」で使用する機能を持つものもありますが、どちらにも使える機能を持つものもたくさんあります。
例えば、「プライド」。
「あの人、プライドが高いから。」というと、悪い意味で使われますが、「彼は仕事にプライドを持って、取り組んでいる。」というと、悪い意味には聞こえません。
「あんなことを言われて、なぜ黙っているの?プライドがないの⁈」というと、また違う機能になります。
もうひとつ、例を挙げると、「おまえ」。
基本的にはぞんざいな印象を受ける語彙ですが、友人や彼女、妻、子どもなどに対して、冗談っぽく「おまえ〜‥」と言うと、親密な関係であることが伝わってきます。
語彙の意味は多岐に渡っていることが多く、その代表的な使い方に引きずられがちですが、学生に教えるときは、どんな場面で誰と誰が話しているか、提示した上で、使い分けと機能をしっかり教えなければなりません。
もちろん、どこまで教えるかは学生のレベルにより異なりますが、限定的な意味のみ教えると、誤った認識を招くおそれがあります。
教師は、説明が簡単そうに見える語彙も、辞書を引いて丁寧に確認することが大切だと思います。