「マウントをとる」2020年7月19日

日本語学習者からは「英語がわからないから、難しい!」、「アレルギーって、何ですか?‥えっ、発音が全然、違う!」などとボヤき声が聞こえてくるカタカナ語。

しかしながら、カタカナ語は増えていく一方で、時に日本人泣かせでもあります。

私はカタカナ語を教えるのが楽しくて好きですが、新たなカタカナ語を目にしたとき、「‥何これ、どんな意味?カタカナ語にする必要があるの?」と思うこともあります。

そんな中、これはすごい!意味がわかりやすい!と感動したのは「マウントをとる」。

初めて目にして、意味を確認したとき、すぐに昔の経験が脳裏に浮かびました。

派遣の仕事をしている頃、同僚が私の前で、ある言動を繰り返していました。

その言動について、何となく「不自然さ」を感じてはいたものの、鈍い私はさほど気に留めていませんでした。

その言動の意味が理解できたのは、私にある変化が訪れ、それを彼女が知ったときです。

驚きと落胆の色が浮かび、絶句していました。

あ、わかった。あの言動は「私はこの部分で、あなたより優位に立っているのよ。」と伝えたかったんだ。でも、同じ立場になることがわかり、がっかりしたんだ。そう気づきました。

そうです。
まさに彼女は「マウントをとっていた」わけです。
当時、この言葉がまだなかったので、この状況を簡潔に言語化するのが難しいと感じた記憶があります。

とはいえ、別に彼女に対して嫌な気持ちにはなりませんでした。

人は誰しも「マウントをとる」ことがあるのではないかと感じるからです。

「しないように気をつけよう。」と思っていても、無意識にしていたり、そのように受け止められたりすることがあるかもしれません。

「マウントをとる」は廃れずに、表現として定着するのではないかと感じているのですが、まだ学生に教えたことはありません。

教えてみたい。そして、具体例を考えてもらったり、経験談を聞いたりしたいなあと思っています。

ちなみに、カタカナ語のテキストでは『改訂版 分野別 カタカナ語彙トレーニング』がお勧めです。
中上級向けの教材で、語彙と練習問題が載っています。

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