先日、介護施設のバイトで、布かばんの繕い物をすることになりました。
私の大の苦手分野です。
しぶしぶ始めた私のおぼつかない手つきを横で見ていた男性の介護職員が笑いながら、
「下手だね。〇〇さん、呼んできてあげるよ。」と言って、手先の器用な利用者さんを呼んできてくれました。
利用者さんはご自分の裁縫箱を持って、
来てくださいました。
「ここをこうして。もっと細かく縫わないと。」などとアドバイスしてくださり、何とか無事に仕上がりました。
教えていただいている間、恥ずかしいと思いつつも、温かい気持ちになりました。
あ、そうか。介護の仕事も日本語教師と同じ。利用者さんから学ぶ仕事なんだとそのとき思いました。
新人介護職員の私は少しずつ新たな仕事をさせてもらっていますが、例えば、
入浴介助。
入浴介助の仕方は利用者さんによって違います。
介護職員に事前に説明してもらいますが、風呂場では私ひとりです。
不慣れな私に利用者さんが優しくいつものやり方を教えてくださいます。
また、初めて利用者さんの血圧を測ったとき。
一回目がエラーになってしまい、
「すみません。下手で。他の職員を呼んできます。」と謝る私に、
「大丈夫。何回でもいいから、練習してごらん。」と言ってくださいました。
その優しさが本当にうれしかったです。
利用者さんは人生の大先輩であり、また戦争を知る世代です。
我慢強さ、物を大切にする心、謙虚さ、常に発する感謝の言葉。
見習いたいなといつも思います。
年を重ね、体がだんだん思うように動かなくなっていくのはつらいものです。
利用者さんの嘆きを聞くことも多いの
ですが、その嘆きを否定せず、傾聴しながらも、いえいえ、私は多くのことを
学ばせていただいているんですよと
いつも心の中で話しかけています。
介護とは一方的にお世話をする仕事ではないと私は感じています。