数学が苦手な私ですが、挫折したのは 小学生の算数の勉強のときです。
かけ算、割り算くらいまでは、覚えると実生活で役に立つと思い、普通に勉強
していましたが、鶴亀算あたりから、
やる気を失い始めました。
私には難しかったことと、問題に取り組みながら、頭の中を渦巻く疑問に気を
取られ、気づくとそればかり考えてしまい、解くことに集中できませんでした。
疑問。それは、
「これを勉強して、何の役に立つのか」
因数分解、方程式‥。
私の疑問は増すばかり。苦痛でしかありませんでした。
結果、数学は早々と、努力して学ぶことをあきらめてしまいました。
高校卒業後、数学から解放されましが、日本語教師になってから、度々、
頭をよぎるようになりました。
もっと何とかならなかったのかと。
そこで、今更ながら、ネットで調べてみました。
数学は実生活で役に立つことはあるようです。
また、勉強することで考える力を養う
ことができると書いてありました。
納得するとともに、
「何のために勉強するのか。」
「解けるようになると、どう役立てる
ことができるのか。」を当時の先生に
明確に示してほしかったなと思いました。
それを知ったところで、すらすら解けるようになるとは思いませんが、モチベーションが少し違ってくるような気がします。
この「私にとっての数学」を日本語教育に当てはめてみると、学生にとっての
「漢字」なのかなと、ふと思いました。
日本で生活していれば、至るところで
漢字が使用されているのが目に入るので
必要なのはわかる。
けれど、学んでも学んでも、その数は
キリがない。読み方も複数ある。
漢字の勉強がいちばん大変。
漢字が嫌い。
漢字はもうあきらめました。
そんな声を数えきれないほど聞いてきました。その気持ちはよくわかります。
このようなとき、私はいつも日本人が
どのように漢字を勉強してきたか、話すようにしています。
子どもの頃から、何十回も読み書きの
練習をしてきたこと、日本人にとっても
漢字を覚えるのは楽ではないということ。
また、漢字をマスターすると何の役立つのか。
漢字を覚えると、わからない語彙が出てきても、漢字の意味から推測できる場合が多い。
このように、例を挙げ、漢字を覚えるメリットを繰り返し伝えるようにしています。
以上のようなことが、はたして学生の
漢字学習に対するモチベーションのアップに繋がるのかどうかは定かではありませんが。
また、漢字の字形がきれいなとき、
難しい漢字が読めたときなど、学生を
褒めることも大切だと思います。
漢字学習以外の科目においても、
何のために学ぶのか。
どんなときに役に立つのか。
常に学生に伝えていくことが、教師の
大切な役割ではないかと思います。