日本語教師になってから、臨床心理士の
資格を取ろうかと考えたことが何回か
あります。
特に、留学生教育に携わっていると、
学生にシリアスな相談をされることが
多いからです。
若い留学生にとって、日本語教師は身近な存在で、相談しやすいのだと思います。
もちろん教師と学生も相性があるし、
人に相談することを嫌がる学生もいるので、全ての学生の相談に乗るわけでは
ありません。
ただ、担任の場合は責任があるので、
気になる学生には多少、踏み込んで
「どうしたの?」と聞く場合もありますが。
外国に住む学生たちはさまざまな悩みを
抱えています。
自分のアドバイスの仕方はこれでいいのか、若い頃はよく悩んだものです。
最近はあまり悩みません。
基本は話をよく聞き、自分の意見を押しつけず、どうしたいのかを聞き出します。そして、解決策をいくつか提示し、後は自分でよく考えてと話すようにしています。もちろん、その後もフォローは続けます。
人は悩みの解決方法は自分が一番よくわかっていることが多いと感じます。
話しているうちに、自分の本心に気づくこともあります。
ただ話を聞いてほしいだけのこともあります。
ひとつ気をつけたほうがいいかなと思うのは話したいけど、なかなか話せないタイプの学生です。
日本語力が原因になる場合もあるし、
性格的な要因で話せない学生もいます。
そのような学生は無言で休み時間に隣に
佇んでいたり、スタンプだけのメールを
送ってきたりするのですが、こちらから誘導すると、悩みを話してきます。
また、企業レッスンの場合、教師は
企業に雇われている身なので、それを
わかっている学生はなかなか教師に相談しづらいものです。
けれど、異国で働いていて悩みがないわけがありません。
彼らに対しては、自分が韓国で働いていた頃、大変だった話や、会社員をしていた頃の大変だった話をするなどして、
なるべく本音を話しやすい雰囲気作りを心がけています。
日本語教師がにわかカウンセラーになる必要はないという意見もあるかもしれませんが、外国人にとって、身近な存在であることを考えると、日本語を教えるのと同じくらい、学生の心に寄り添うことは大切な仕事なのではないかと経験上、思います。