文字、語彙、発音、文法、会話、読解、
聴解、作文・小論文‥。
日本語教師が教える科目はたくさん
あります。
新人教師の頃からかなり長い間、正直、
苦手意識があり、悪戦苦闘してきたのは
中級以上の文法です。
日本語能力試験対策のテキストには文法解説がありますし、文法解説のみの本もあります。
それを読めば、「文法を教える」ことはできます。
けれど、学生の非文を指摘し、その場でなぜ非文なのか、わかりやすく説明した上で、文を訂正するには本の知識だけでは足りません。
教案の段階で、予測される学生の非文を考え、メモをしておいても、たいてい
予測不可能な非文が出てきます。
類似文型も同じです。
経験が浅い頃は、類似文型の分析が甘く、質問され、答えに窮したこともありました。
また、定着の確認として書かせ、授業後にチェックするプリントや、宿題、テストの文型作文問題の非文訂正にも頭を
悩ませてきました。
経験を積んでいけば、自然に非文訂正も的確にできるようになる‥わけではないと自身の経験から実感しています。
では、どうすればよいのか。
私の場合、他の先生方から「文型分析の切り口」のヒントをもらい、そこから
学ばせてもらいました。
同じ文型でも、機能の捉え方、非文に対する解釈は教師によって、少しずつ違います。
それは文法書を読んでもわかります。
本によって違いがあります。
理系が弱い私は早い段階で、私に足りないのは「理詰めで分析する力」だと気づいたので、理系の視点で分析する教師の
意見に耳を傾け、その視点を身につけようと努力してきました。
学生の作文が非文であると気づくのは
国語力があれば、誰でもできます。
では、なぜ非文なのか。
その文全体を解体し、分析していきます。
文型の機能が理解できていないからか。
機能は理解しているが、文がねじれて
いるからか。
機能は理解しているが、文型の特性で、
制限があり、その制限に引っかかるからか。
機能も理解し、内容も自然。けれど、
語彙のレベルが文型と合わず、不自然な文になることもあります。
非文訂正は難しいので、複数の教師で
一緒に知恵を絞り、意見を出し合い、
「正解」を導き出すこともあります。
けれど、それで終わってしまったら、
何も身につきません。
そこで出た他の教師の分析の仕方や、
切り口から学び、自分の「視点」を養う努力を続けていかないと、成長できないのではないかと思います。
私は苦手意識のあった中級以上の文法を担当することが、なぜか新人の頃から多く、苦戦してきましたが、途中からは自ら文法を教えたいと希望を出すようにしてきました。
とにかく何十回も同じ文型を教えて
学び続けることが大切だと痛感しているからです。
今も複数の場所で教えていますが、全て文法も教えています。
もちろん、まだまだ発展途上です。
だからこそ、おもしろい。