先日、介護職をしている学習者に日本語の授業をしていたときの話です。
彼らは私が初任者研修を修了し、介護職員として働き始めたことを知っています。
休み時間に、邪魔して悪いなあと思いつつ、おずおずと全介助が必要な利用者さんの移乗方法について、アドバイスを求めました。
うまくできなくて悩んでいたからです。
いつも私の施設での仕事について、気にかけてくれている学習者に相談してみたのですが、すぐに他の学習者も集まってきて、「先輩介護士による移乗講座」が始まりました。
学習者が利用者役と介護士役になり、
実演しながら、
「先生、利用者さんの姿勢はこうして
いますか?」などと、基本を確認されたり、口々に的確なアドバイスが飛んで
きました。
私はひたすら、「うん、うん。」と聞きながら、質問をしたりしていました。
そうこうしているうちに、あっという間に休み時間が終わり、
「ありがとうございました。授業に戻りましょう。」と言うと、彼らは見事に切り替わり、いつも通り真面目に授業を
受け始めました。
外国人介護士として、スタートを切ったばかりの頃から、彼らに教えている私はその頼もしい姿に感動しました。
ここまで来るのに、どれほどの努力を
重ねてきたのだろうかと。
教師は学習者の「教室以外の顔」を見る機会は滅多にありません。
自分の学生時代を振り返ってみても、
教室で見せる顔はほんの一部に過ぎないと思います。
学生のことをわかっているつもりでも、
知らない面が必ずあります。
素晴らしい才能や特技を持っていたり、
職場で信頼されていたり、面倒見がよかったり。
ふとしたときに知ることがあります。
それを忘れてはいけないといつも思っていますが、今回、改めて気づかされました。
彼らが見せてくれたプロの姿は本当に
かっこよかったです。