大好きな桐野夏生の長編小説をやっと
読みました。
読み出したら止まらなくなり、読み終わった後も、しばらく小説の中に閉じ込められたまま、呆然としていました。
なぜ桐野夏生に惹きつけられるのか。
考えてみました。
桐野夏生は登場人物の気持ちの高ぶりをときに心の声で、ときに体の動きで、そして、誰かに投げつける言葉で、鋭利な刃物のように、突きつけてきます。
それは一見、あくの強い人間ばかりが
描かれているせいであるかのように見えますが、実は違うのではないか。
人間が誰しも持っている、普段、人前では隠している心の闇、弱さ、毀れた部分を表現しているだけなのだと思われて
なりません。
桐野夏生の小説には、いわゆる悪い人間も出てきますが、なぜかあまり嫌悪感を抱かないのはそのせいかもしれません。
もちろん、私の主観なので、違う感想を持つ方はいると思いますが。
この本の主人公は、桐野夏生にしては穏やかな人物像だなと思いながら、読み始めましたが、読み進めるにつれ、うちに秘めていた激しい思いが溢れ出し、言葉で相手を、そして、自分を叩きのめします。圧倒されました。
ラストは圧巻でした。
昔、ある小説の解説に、「この小説のラストから本当の物語が始まる。」と書かれていたのを読んだときから、すごいと唸らされる小説はみなそうかもしれないと思うようになりましたが、この小説も同じ思いを抱きました。
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