以前、教師は文型分析を入念に行う、けれど、それを全て学生に提示するわけではない、学生のレベルに応じて、混乱しないように絞って教えるという投稿をしました。
でも、学生の中には類似文型の機能の違いなどについて、詳しく知りたい、教師の知識を全部吸収したいと思う学生もいます。特に、中級以上のクラスの上位層で、鋭いタイプの学生が多いです。
そのような学生はたいてい授業中、教師が類似文型との
使い分けを説明する前に質問してきたり、このクラスでは、あえて使い分けを提示しなくてもいいと考えているときに質問してきたりします。
これは決して悪いことではありませんが、質問をされ、
クラス全体に説明するときは、やはり絞って提示します。
他の学生の混乱を招くおそれがあるからです。
そうすると、質問してきた学生はその説明だけでは納得できないので、
後で、個別にさらに説明を求めてきます。このときはかなり詳しく説明します。咀嚼できるレベルの学生に限りますが。
ただ、説明した上で、「そこまでの使い分けに関する問題は日本語能力試験などには出ないよ。」と話すこともあります。
そのように言うと、少し安心した表情を見せます。
一点、気をつけなければならないのは、まだ基礎が身についておらず、けれど、細かい相違点が気になり、何でも質問してくるタイプの学生です。
このようなタイプの学生に詳しい説明をすると、より混乱して、咀嚼しきれません。
この場合は簡潔な説明に止め、「まずはよく使う例文で覚えましょう。」と話します。
実際、テキストなどに出てくる典型的な例文、文型と共起する品詞を素直に覚えて、意識的にそれを使用している学生は日本語力がきれいに伸びていきます。
鋭い質問や、突っ込んだ説明を求められると、経験が浅い時は教師も余裕がないので、戸惑います。
けれど、質問してくるのはいいことなので、その学生に合わせた対応が少しずつできるようになっていければいいと思います。
その場で答えられなければ、「私の宿題にしてください。」と素直に話し、調べてから教えれば、学生は納得してくれます。