言葉の力 2018年5月14日

日本語教師を目指そうと考え始めたときに、頭に浮かび、悩んだことがあります。

それは言葉の持つ怖さ。

10代の頃、コンプレックスに悩まされた人は多いと思いますが、私の場合、物心がついた頃に始まりました。

前にも少し触れましたが、
人並み外れて背が低かったのです。

今なら、身長を伸ばすための注射を勧められていたと思います。

とにかく食べ物の好き嫌いが多く、食べない子どもでした。

子どもは時に、残酷な生き物。
同級生はもちろん、下の学年、上の学年の子どもにも、よくからかわれました。

知らない大人や子どもにも、外を歩いていると、「どうしてこんなに小さいの?」と驚かれたりしました。

今、思えば、悪気なく言っていたと思いますが、「私は人と違うんだ」
と、傷つき、悩みました。

子どもながらもそのとき感じたのは言葉の怖さでした。

その後、背を伸ばすためにと、
バレーボール部に入り、打ち込んでいるうちに、食欲も増し、身長も一気に伸び、今は普通の小柄な体型に
なりました。

日本語教師は言葉を教える仕事。
国語も好きだし、外国人に興味も
あるし、やりがいもありそう。

でも、言葉の持つ強大な力、人を
打ちのめすこともできる力を考えたとき、言葉に関わる仕事をすることに躊躇してしまいました。

悩んだ末に、出た答えは…

言葉には人を励まし、癒す力もある。言葉の持つ素晴らしい力を伝えていこう、という想いでした。

いくつになっても、人の言葉に力をもらったり、癒されたり、逆に、
傷ついたりするものです。

私も人を傷つけてしまい、後悔することもあります。

それでも、言葉は素晴らしいものだと思います。

違う言語で育った外国人に、日本語を教えることで、意思の疎通が生まれ、様々な人間関係が構築されて
いきます。

学生から、日本人に言われて傷ついたことや、うれしかったことを聞くと、それは実は、すごいことだなと思います。

教師をしていると、時に厳しく注意し、学生を落ち込ませることもあります。そして、励ましたり、ほめたり、慰めたりすることもあります。

どちらも言葉の持つ力。

その力を上手に使える人間になりたいと、反省を繰り返しつつ、いつも思います。

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