新人教師の落とし穴 2018年10月13日

日本語学校の新人の先生の相談に乗ったり、アドバイスをすることが多いですが、新人教師の悩みには共通点があります。それに対して、私がいつもしているアドバイスを書きます。

新人教師は時間をかけて一生懸命教案を書いて、副教材を準備して授業に臨む。ところが、大人数クラスの学生たちは自分が思ったような反応をしてくれない、教案通りに進められない。「全体的に授業がうまくいかなかった。ダメだ…。」と落ち込みます。

まず、「全体的にうまくいかない」という視点を変えなければなりません。新人の頃は、授業後の振り返りを自身で行い、「今日、特にうまくいかなかった点」をひとつだけ見つけます。

例えば、導入がわかりづらかった、ドリル練習がテンポよく進められなかった、応用練習が難しすぎた、学生が自由に文を作る練習が足りなかった…など。

そして、その反省点を生かして次回の教案を作成する。
反省点が生きて、前回よりうまくできたら、自分をほめてあげる。そして、また、次の反省点を見つける。この繰り返しをしていくうちに、教える力が少しずつついてきます。

授業中に、「全体的にだめだ…」と思ってしまうと、学生の姿も見えなくなってしまいます。

何度か書きましたが、授業中、もう一人の自分を教室に置き、俯瞰させる。そして、ここはダメだよとフィードバックをさせる。それを次回に生かしていくことが大切です。

これをしないで、全体ばかり反省していると、教え方に癖がついてしまい、どこがダメか、わからないまま、何となく年月が流れてしまいます。

新人の頃は事前に教案チェックをしてもらう、授業見学をしてもらい、フィードバックを受ける、ベテランの授業を見学させてもらう。もちろん、これらは有効です。

しかし、学校の規模によってはそれが難しい場合もあるでしょうし、また、毎回、指導してもらえるわけではありません。

私の時代はプロになってから、教案指導を受けたり、見学されたり、他の先生の授業を見学したりする機会はほとんどありませんでした。

そこで、自身でフィードバックを行っていました。今も続けています。完璧な授業はありませんから。

ただ、「私の時代はこうだった。」という考え方は好きではないので、新人の先生には声をかけたり、アドバイスをしたり、求められれば、私の授業を見学してもらったりしています。

大切なのは「客観的な視点」。自身に対しても、学生に対しても同じです。教師として成長していくためには欠かすことはできません。

タイトルとURLをコピーしました