初級後半に出てくる受身文。
教えるたびに、思い出すことがあります。
教師になってすぐ、韓国の企業で教えていたときのこと。
学習者である会社員はみな優秀で
熱心。私より年上ばかり。予習、復習も完璧です。
他の先生方もすばらしく、私の経験の浅さは隠しようもありませんでした。
とにかく、毎日、必死に準備して、授業の繰り返し。
そして、受身の授業の日。
もちろん、初めて教える文型です。
上司は私を叱りました。
上司は私をほめました。
この文を引き出し、受身文を導入するために、学生に質問しました。
仕事で大きいミスをしました。
上司は何と言いますか。
…クビです。→他の学生も頷く。
この時点で、余裕をなくした私は、とっさにトピックを切り替えて、
子どものとき、テストで100点を取りました。お母さんは何と言いましたか。
…何も言いません。
えっ?…導入ができない。固まる私。でも、よく見ると、学生たちは笑いを堪えています。
ああ、私の導入の意図を読んで、
遊んでいるんだ…とわかりました。
私は仕方なく自分の経験に切り替えて、導入しました。
彼らはそんなことをしたのは一度きりで、普段は優しく、まるで私の指導教官のように、見守ってくれて
いました。
ちょっとした、いたずら心だったと思います。
私は今でも学生にからかわれやすいタイプです。
当時は、ショックでしたが、なかなか珍しい体験だと思います。
思い出すたび、笑いがこみ上げ、懐かしくなります。
もっと肩の力を抜いて!という気持ちもあったのかなあ。
今の私なら、一緒に笑って、そんなことないでしょうと、突っ込みを入れていたと思います。
ド新人のときに、彼らを教えるのはとてつもないプレッシャーでしたが、同時に、彼らから多くのことを学ばせてもらいました。
私の宝物です。
いつかもう一度、教えてみたいなあと彼らの顔を思い浮かべています。