「これとこれは同じ意味ですか?」
学生によく聞かれる質問です。
はい、そうですと答えることは、なきに等しいです。何かしら違いがあります。
例えば、「失敗」と「ミス」
「ミス」を引くと、「失敗」と書いてあります。では、同じ意味、使い方でしょうか?
自分で例文を考えていくと、少し違うことに気づくはずです。
ヒントはカタカナ語の特徴です。
他に例を出すと、「会議」と「ミーティング」。
カタカナ語以外もたくさんあります。
『みんなの日本語Ⅱ』に出てくる
「このごろ」。既習の「さいきん」との違いを聞かれたり、こちらから教えたりします。
この二つの語彙は意味が重なるところと重ならないところがあります。
類義語辞典で調べてから、やはり例文を
たくさん考えてみます。
同じような例だと「大丈夫」と「平気」
教えるときは、もちろん、辞書に
書いてあることをそのまま言いません。
語彙を教えるときは、とにかくわかりやすい例文を出していき、学生に意味を推測させつつ、簡潔な説明をします。
教える前に、新しい語彙の例文と説明を考えておかなければなりません。
もし、予想外の質問が来たら…やはり
その場で例文を考え、わかりやすい例文を提示していきます。
教師にとって、言葉に敏感になる努力は欠かせません。
普段から耳に入ってくる言葉、目に留まった言葉に反応し、もし、学生に教えるなら…と、例文を考え、説明を考える癖をつけると、分析する思考回路が作られていきます。
私は養成講座に通っていた頃、電車の
中吊り広告や、テレビを見て、よくこの練習をしていました。
誰か身近な人の日本語を注意深く聞き、よく使う語彙の意味や例文を考えてみるのも練習になります。
私は家族で試したことがありますが、
よく使う語彙と性格の関連性に気づき、おもしろかったです。もちろん、本人
には内緒で分析していました。
母語を分析する思考は、養おうと意識して、頭の体操をしていくことが大切だと思います。