初級で、学生にとって理解が難しい文型に「~てあります」があります。
特に、『みんなの日本語』では直前の課で「開きます」「閉まります」などの自動詞がたくさん新出語彙として出てきて、ここで既習の「開けます」「閉めます」などの他動詞と対比して、ペアで覚える練習をすることが多いと思います。新出の他動詞も出てきます。
自動詞・他動詞の作り方はルールもありますが、例外が多いので、そのまま暗記させます。その後、「窓が開いています。」などの状態を表す文型「~ています」を導入します。
ところが、次の課で、準備してある状態を表す「窓が開けてあります。」が新出文型として出てきます。他動詞を使うのに、助詞は「が」。学生にとって非常に難しい文型です。
導入するとき、場面設定と例文をかなり練り、時間をかける必要があります。場面もひとつでは足りません。
『みんなの日本語』では、この文型を導入した後で、準備を表す「窓を開けておきます。」が新出文型として出てきますが、本来は、「~ておきます」→「~てあります」の順番で導入したほうがわかりやすいと思います。
カリキュラムがテキスト通りになっている場合、難しいかもしれませんが、カリキュラムを作成した教師に提案してみるとか、プライベートレッスンなら、順番を替えて教えることも可能だと思います。
初めて「~てあります」を教えたとき、学生に、「~ています」と何が違いますか?と強く迫られ、更に、例文を出しても、なかなか納得してくれず、泣きそうになった経験があります。いい経験をさせてもらいました。
すぐに理解ができなくて当然、たくさん場面と例文を用意し、時間をかけて導入する。何回も教えていくうちに、余裕を持って、対応できるようになりますが、教える前に、覚悟しておくことが必要になる文型だと思います。