今後、ますます需要が高まるであろう介護の日本語教育。
私も現在、携わっていますが、
以下のスキルが必要なのではないかと感じています。
「介護の日本語」関連のテキストは続々と出版されていますが、「テキストを教える」のではなく、「テキストで教える」ためには、ある程度、教師自身が介護に対する知識が
あったほうがいいのではないかと。
学習者はもちろん介護用語は覚えなければなりません。けれど、それだけではなく、「現場」で用いる「用語」との使い分けを教えなければなりません。
わかりやすい例でいうと、
「褥瘡」。現場で話すときは「床ずれ」をよく使用すると思います。どちらも教えなければなりません。
また、現場で目にしていても、あえてその名前を発話する機会の少ない語彙。
例えば、「シルバーカー」。私も介護施設でアルバイトをしているとき、何度も目にしていたのに、画像を見るまで名前を知りませんでした。学習者も同じです。画像を見せれば、すぐわかります。
現在、日本の介護は、行政、各種介護施設、病院などと家族がネットワークを持ち、行われていますが、知識のない人にとっては、複雑なシステムと言えると思います。
実際、無資格で有料老人ホームでアルバイトをしていた私より、家族の介護に携わっている知人のほうが、
このようなネットワークに関して、詳しかったです。
今は何でもネットで調べられますが、自身が経験すること、それが何より強みになると思います。
介護職と、日本語教師の経験がある方が理想的だと思いますが、なかなかいませんよね。私もまだまだ勉強中です。
また、教師は「介護の日本語」を教えるだけではなく、日本語能力試験対策を行う必要も出てくると思います。
そして、何より大切なのは、「日本人と円滑なコミュニケーションが取れる能力」です。
高齢の利用者さんに対する声がけと、適切な日本語での対応。日本人介護職の方との意思疎通。
まず、「発音練習」は欠かせません。通じなければ、意味がありませんから。そして、丁寧な日本語をマスターしなければなりません。これらを習得するために、どんな学習方法が適切か。教師自身が組み立てなければならないことも多いと思います。
このように考えていくと、日本語教師として、ある程度の経験があったほうがいいと感じています。
中上級レベルまでは教えられること、自分でカリキュラムが作成できること、臨機応変に学習者がほしいものを食べさせることができること。
尚且つ、介護に何らかの形で携わった経験があること。
とはいえ、待ったなしで「介護の日本語教育」は需要が増すわけで、たとえ、教師としての経験が浅くても、チャレンジしていくことは素晴らしい糧になるでしょうし、「学習者とともに、学んでいく」という姿勢が何より大切だと思います。
「介護の日本語教育」に関する講座も行われているので、勉強するチャンスもあります。
多くの日本語教師が携わっていくことが、外国人介護職のためであると同時に、日本のためでもあると思います。